ジュラシック・パーク/千月 話子
日焼けした かき氷屋の主人の
肩から流れ落ちる汗が
石床に着地すると
閉じ込められたアンモナイト等が
ゆっくりと 泳ぎ出す
冷たい水しぶきを追いかけ
飛び回る子犬の様子を伺いながら
淡水と海水が入り混じる
浅い水辺は
客席まで広がって
人々の足裏で
逆さまのジュラ紀の
海 海 海 になる
喧騒が床凪を揺らし
さざ波になろうとも
人々の興味は
いつも上方にあるので
今だ 誰も気付かないけれど
子犬は 聞いていた
巨大魚が飛び跳ね
散乱する水しぶきの音を
不思議な気持ちで
その頃 話し好きな少女の
虹色の かき氷が
ガラス
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