あかずきん/水居佑梨
手にさげたバスケットに
お花を摘んで夢を見る
おおかみに憧れる
あかずきん
弱った人間に
優しくすると
ロクナコトがないよと
言ったのに
それでも近づくおおかみに
あたしはただ頷くだけ
あなたの中には誰かがいて
あたしの中にも誰かがいて
しがみつくことに
精一杯だった
矛盾する夏の夜
おばあちゃん
おおかみに食べられた
あかずきんは
おおかみにはなれないの
あなたを軸に世界が回り
そして世界が終わる
塗られたベンチが
いつまでも青いように
あたしの色は
いつまでも
記憶の通り道
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