幸福の谷 /服部 剛
 
「幸福」を鞄に入れて、旅に出よう。
昔日、背の高い杉木立の間を 
見果てぬ明日へとまっすぐ伸びる 
石畳の道 
君と歩いたあの日のように 
( 舞い踊る、白い蝶々を傍らに。 
「空腹」な心の器には 
「幸福」な木漏れ日を 
  限りなく、注がれて 
背の高い杉木立の間を
まっすぐ伸びる 
石畳の道の向こう 
小さい出口にあふれる 
白い光の内に立つ  
君の人影 
( 舞い踊る、黄色い蝶々を傍らに。 
   * 平成十八年・八月七日(月)
    軽井沢駅から信濃追分駅へと向かう信濃鉄道車内にて。 
   *「幸福の谷」は軽井沢の林道の名前。 
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