妄想と現実の境界線/七尾きよし
 

日当払うからスケッチさせて
と言いたくなる女に出会った
夜なべわらじ編みしながら女を想うとき
浮かんでくるのはパステル・クレヨン・石膏・CG
いろんな手段で空間から切り取られた
彼女の姿

日当払うからモデルになってよ
妄想と現実の境目を描く
彼女のカラダに筆を走らせ
鮮やかに色を塗りこめていく
肌がすべて向こう側へと消え去るとき
ぼくの作品は完成する

妄想が現実に流れこんでしまわぬために
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