約束の履行について/朽木 裕
 
耳を切るように風が鳴る。
根源的な哀しみなんて何処へ行っても付いてくる。

面白くもない恋愛映画垂れ流し日曜の午後。
滑稽だなって冷えた目で見てるアンタこそ、だよ。

でも救いなんて求めるほど堕ちちゃいない。


死なないって約束なんてするものかと思っていたけれど
確かに確かに履行します。


「自ら死は選びません」


生きていてよかったなんて月並みな言葉でよければ君に。
本当にね、逢えて良かったと思っているのです。
強く強く 生きていたいって思ったんです。


自ら 死は 選びません。


声に出して呟いてみる。
内側からの衝動は何があっても抑
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