もう食べれない ぷらとにっく /七尾きよし
るものだけでできてはいない
ほんのたまにひょっと浮かんでくる
煮えたぎった油に溶かされた朱蝋燭のような
意識の海にまだら状に溶け込んだもの
いのちあるものを憎むこころ
ひょっと浮かんだかと思うと次の瞬間には姿を消している
無意識の深海を泳ぐこの化け物を捕まえる術を知らない
奴は獲物が近づいてくるのをじっと待ち
その時が来るのを狂喜とともに待ち続けている
愛のことばを声にするとき
ぼくは決してこえに力をこめることをしない
奴に身体をのっとられることを何よりも恐れているからだ
愛のことばの陰に捕まえた獲物の髄までもしゃぶりつくす
貪欲な奴の存在を知っているからだ
限りな
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