美視中/秋也
もこの夕焼けだけには負けたくない」
「夕焼け最高に綺麗だもんね」
「違う、みんながみんなで夕焼けを視ていることが綺麗なんだよ」
「なるほど、なんとなくわかった」
「夕焼けに負けないために今は生き、勝てる時は自然に訪れるものを受け入れるよ」
「君なら勝てる」
「頑張るよ」
「頑張れ」
彼との会話は互いの笑顔で終わり
やがて早々に本当の終わりが訪れる
轢かれた
ぶっ飛んだ
死んだ
彼が
葬儀はしめやか、かつ盛大に
遊び好きの彼だからこそ
夕焼けが終わる頃
いつものあの場所で
だれもブラックスーツ、喪服なんて着てこない
彼の遺体を最期にもう一度視る
それだけのため
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