美視中/秋也
 

砂塵と化す
繰り返し
果たして
僕は
夕焼けに勝てるのか
彼になれるのか
はたまた彼と再会できるのか
皆の視線が彼だった物から、僕にゆっくりと移っていく
だんだんと
「君は生きているんだから」
思惟
思考
激情
少し離れた前にバイクが現れる
夕焼けを意識する
エンジン音がノイズとなり僕を襲う
ヘッドライトが眩しい
目は閉じない
閉じたら夕焼けも彼も感じられない
来い
来い
「僕は生きている」
全開で轢いたらいい
ふっ飛ばしてみろよ
彼にしたみたいに
世界も
僕も
夕焼けも
死でさえ
皆で見るから美しい
棺の中で彼も見ている
もう起き上
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