無題/
 


無くさなくてもすんだ魂
少女はまだ知らなくてもいいはずの絶望を
大人達も持て余すそれを
押し付けられる

誰かが言う
痛ましいことです
痛ましいとしかいいようがない
ただ一つ幸いな事は
それが一瞬だったということです

あぶくが弾け
なにもかも遠ざかる
蝉は鳴くのをやめ
夏は凍り付く
幾重の層に閉じ込めるべき
少女の涙
プールの水ごと飲み干せ

彼女はその扉の向こうで
たったひとりだった
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