「午後の炭酸水」/ベンジャミン
 


僕の隣には
注いだばかりの炭酸水

弾ける泡の一つ一つが
小さな生き物のように騒いでいる

生まれては消え
その瞬間を精一杯に生きている姿には
最近味わったことのない爽快感があった

些細な事で悩んでいる自分が
小さな泡よりもちっぽけに思えて
一気に飲み干してしまった

喉の奥で最後の抵抗を試みる彼らを
征服したような気持ちで息を吐くと
なぜか空しさが込み上げてきた

テーブルの上には空になったコップ
そして空しさを噛みしめる僕

どんなに強がってみても
結局小さな泡よりも存在感のない

ちっぽけな自分がいた


        
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