グーチョキパーなど/あおば
 
処に逃げても無駄だ
機関銃のような音を立てて
軽スクーターで追いかけてくるから
逃げられない
掴まって殴られて
殺されて
寂しい朝に埋葬されて
それが
寂しいインディアンの
正しい生き方なのだと
教えられて
暗記して
大きな声で朗読してから
大通りの赤信号を渡り
警笛を鳴らされて
死にそうな目にあって
項垂れて
マンホールに蹴躓いて
転倒して
不注意な人に踏みつけられて
悲鳴を上げて
近所の人に蔑まれ
家族からは叱られて
朝昼晩と食事を抜かれ
ふらふらになって
大人しくなって
水を一口飲まされて
唐辛子を食べさせられて
おいしいと言ってから
歯を磨き
眠るのだ

一日はこのようにして過ぎてゆく
なにかに例えるのが難しいとしたら
それは
回転木馬に乗って
旅行に出かけるのと同じことだと
分かり易く説明してくれる人が身近にいないためかも知れない
回転木馬の馬になれば
その辛さも分かるのですがと
皮肉を言うのは
横町のご隠居で
いつもいなり寿司の差し入れをしてくれる
奇特な方です。

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