おやじが見ていたマントルのその先へ/土田
なにを書きたかったのか忘れた
付き合っていた女のことかもしれない
いや突き逢っていただけの女のことかもしれない
いやいやこれからの素敵な人生設計について
いやいやいやこれからの詩的な陰茎生計について
そのほうがまだしっくりくる
真っ昼間の酒っていうものは
おれをマントルへとおいでおいでする
それが知れただけで
おれはショパンの何十倍もの作曲力で
やぶれたパンストみたいな網戸の
エロい穴から入ってくる騒音を
組曲風に味つけできたりするんだろう
ぜんぶがぜんぶおれにとってのファンタジーだ
六五〇円のウィスキーも
垂れ流しの「女子高生緊縛二十四時」も
手に盛ったあじし
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)