「愛している」/きりえしふみ
 
私は言葉だ
私は日々 消費される 切り売りされている
切り花のように美しく 華美でいて
造花のように どこかしら胡散臭い
私は言葉という散財好きな令嬢である
はたまた この世で最も蔑視されるべき
極悪人にも雇われる また 私は話すべき者に
覚えるべき文字 一つを教えられない
私は最も貧困に苦しむ難民である
何にせよ 是だけは変わるまい
私は君らの 間という間を常々において
敷き詰めている 言葉という消耗品である

私は昼夜眠れない
人々が私を使わなくなるまで 使われなくなっても
アルカイックな奴らが 私を呼び出している その内は
私は毎秒生み出される 一字が死んでも
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