それからの紅茶葉/湾鶴
いくつかの茶葉は先生の教えを忘れ
上のほうで ぷかり と 浮いたまま
また いくつかの茶葉は
下のほうで ほっくり と 沈んだまま
僕は固くなった体をほぐそうと
もがいていた
先生は言った
あわてないで と
そうだ 僕は知っている
毎日 練習した ジャンピング
泡をひとつ つかんだ
ぽかり
浮いた!
ういたういたういたボクのぼるのぼるのぼる
そっと
泡をひとつ はなした
沈む!
しずむしずむしずむボクおりるおりるおりる
「はい!ジャンプッ。」
あぁ 先生の声が聞こえる
先生、うまくできたよ
ヘリウム風船みたいにできたよ
「はい、ジャンプ!」
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