まるで潮風のように/bjorn
 
日が暮れたあとの海岸は
月に映える波とまだ暖かい砂
泡立つ波がレースのように
波打ち際を白く飾る

肩越しに見えた打ち上げ花火
風に乗って来た歓声と
建物から漏れる無数の明かり
夜空の星も薄らぐような 
そんなにぎやかな海岸通り

昼間は他人の顔をして 
日が暮れるとまるで恋人同士 
寝る間も惜しんで抱き合った
伝う涙を拭ったあなたの 
その腕の中で目を閉じて

夜明けとともに魔法は解けて 
さよならも告げずに行くけれど
バスの窓を叩いたあなたに
もう何も言えなくて
あとから溢れた言葉はすべて
ガラス越しから届かない

いつか再び出会っても 
昔の仲間に紛れたら
アイスティーをかき混ぜながら
他人の顔で笑うだけ

上手に笑うあなたを見ては
ひとりこころで涙を流す
思い出のかけらを探してみても
あなたの瞳の向こうには
あの海はもう見えなくて

人々の影も花火の跡も 
潮風のように過ぎ去って
祭りのあとの海岸は
まるで私たちの見た夢の果て
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