生活/葉leaf
く。彼は紙上の文字たちを剥離することができないので、私が神経の先で切り出してやる。腐乱し感光する文字たちを撃つことで、彼の髪の色は少しずつ移ろってゆく。彼は時おり肉体の中に消えてしまうので、私は衛星の(いき)を越えて彼の重心にふたたび点火する。無数の等高線から速度を受け継いだのち、私は彼を産んだ女と、視線とことばとしぐさを交換する。ひとつの機能がよぎるが、機能とは球形の病である。私は足の付いた木の板に座っていて、しきりに液体を飲んでいる。
綿の入った袋にはさまれて、私は背中の圧力を数え上げる。彫り上げられた私の表情は、情火の(いき)にてざわめき続ける。私の体は涸れた空洞となり、音波と化した昼
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