春の陽射し、冬の残り香/
チェザーレ
春の陽射しに包まれた
消えゆく雪のその薫り
蒼白の日々の儚げな薫り
ひんやりとしたあたたかさは
春の命にとけて
空の色になって
泥に塗れた冷たさは
思い出を残すこともなく
静かに死んでいった
ひんやりとしたあたたかさを
一滴
春の陽射しに落として
消えた
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