桜が片方の羽を落としていった/七条 優
痙攣す足首押さえ唇噛み切る。
現るるは唯一神、極限に飢えた魔物。
青いペンで落描きしたらば。
神経に注がれる桜の花びら。
アリスを追って夢現、煌びやかなまやかし。
まやかし?
確証を得ることの出来る現象を生まれてこの方見たことがない。
精神も。
肉体も。
足音さえもがまやかしの闇。
狂い、涙す、狂い、笑う。
途切れさすことのなきよう。
あまりにも貪欲で。
したらば春風は頭上を通り過ぎてしまったんだ。
途切れぬことを求める愚者。
したたる紅を飲み干す眼の奥には青白き炎。
狂気の桜が舞っている。
神経はきみを、母と呼ぶだろう。
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