【短歌祭参加作品】半透明の夏/
望月 ゆき
トの砂落とす手で風をよけ 流星群と見まごう髪の
ノックの音が嫌いだと蚊帳のなか 足音だけを待つ不眠症
砂利に染みゆく水の先 今もなお海底墓地で眠りしきみよ
赤々と標されてゆく地図をよむ 冷凍都市を泳ぐ金魚の
おととしのワークブックの1ページ 残しつづけるという宿題
半透明の夏が消えて残るもの 氷の音の風鈴ひとつ
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