【短歌祭参加作品】半透明の夏/望月 ゆき
 
トの砂落とす手で風をよけ 流星群と見まごう髪の




ノックの音が嫌いだと蚊帳のなか 足音だけを待つ不眠症




砂利に染みゆく水の先 今もなお海底墓地で眠りしきみよ 




赤々と標されてゆく地図をよむ 冷凍都市を泳ぐ金魚の




おととしのワークブックの1ページ 残しつづけるという宿題









半透明の夏が消えて残るもの 氷の音の風鈴ひとつ




戻る   Point(29)