優しい人へ/bjorn
顔も思い出せない人だけど
その声も聞けないけれど
もしも叶えられるなら
せめてその眠りを妨げるものから
あなたを守りたい
言葉が溢れて眠れぬ夜には
その話をただ聞いてみたい
あなたが寝息をたてるころには
そっとシーツをかけるから
あなたが風邪を引かないように
徹夜明けで出たあとは
片付けをして帰りを待っていたい
掃除は苦手なようだから
もちろん食事も作っておくね
他には何もできないけれど
忘れた傘を届けることも
眠いあなたを迎えに行くのも
同じところで笑ったり
お疲れさまとか大丈夫とか
声をかけることすらできないけれど
どこか遠くの場所から
もっと遥かな人々の
嘆きや憂いや哀しみに
そのたましいを震わせて
いつも難しい本を手に取って
言葉も通じぬ人々の
声なき声に耳を澄ませて
出来ることは何かと思いを綴る
手の届かない人だけど
まだ何も知らないけれど
もしも許してもらえるのなら
せめてその笑顔が絶えないよう
あなたのために祈りたい
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