お風呂と食事のあいだ/山内緋呂子
れるのに、男性の前では、上の空になってしまう。
喜捨はだいたいお腹をすかせていて、よく私に「くわせろ」と言って、二人で食事を始めた。
寝転んで両手を延ばしたり、電柱にぴったり添って、「くわせろ」と言っていた。
喜捨に「石はなんで固いんだ。」と聞かれ
「石も、仕方なく固いのよ。」としか答えられず、よく、やわらかいものをつくって、彼に出した。
私は彼とごはんを食べ過ぎたのだろうか?
今では
口を開けていていいのは、
子供と、若い女と、何かの病気で口を閉じられなくなった人だけのような気がする。
お湯を張ったことを忘れていた。
ユニットバスなので、トイレの下も
お湯が張られて
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