無声/こしごえ
 
 は、真空の一点で凝縮し続ける無言する性(さが)である。



仄暗い
道を歩いていると
星雲を繁茂する
一角で
ぽっかりとあいた
湿っている暗闇が
濃紫(こむらさき)にゆれて立っていた
(うふふ)と

((う)
螺階を降りていく音が
胸中に響き
一段ずつ
過去を落してゆく

しかし
どこまでも近づくことのない底である
その上
上を見上げれば眩しいばかり たまらず
えいや
との声に立ち止ったりしてみせる
がここはどこだろう
たしかに私は階段をおりてきた
がここはどこだろう
時間に逆らえないでいる生き身は
ここと等しい惰性で下降線
[次のページ]
戻る   Point(18)