テクノプラズム/仲本いすら
 
界はそういう風にできてるんだ、ジョセフ。

  *

懸命に「ごめんなさい」と謝る姿を見て
俺のことはいいから、と田中は言ったが

あとでアイツが大粒の涙を流して

ポリバケツを蹴ったことは
俺しかしらない。

  *

これで、三回目。

  *

カーテンを開けるとそこはまるで異世界のようだった。
なんの変哲もない、ただの病室なのだが

看護婦が普通な様子で普通な患者を介抱し

医者が普通なイスに座り、普通に診察をし

患者は普通に診察台を払っていた。

そこままるで、ウソみたいな世界のようだった。

  *

羅針盤という漢字が読
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