兔缶詰/暗闇れもん
 
凍った兔は缶詰に入れられていた

床は兔だらけで
もちろん、その兔は縫いぐるみで
継ぎ接ぎだらけの兔の目には釘が打ち込まれていた

その真ん中で男は兔を掴み切り刻む

布切れを雪のように宙に投げ狂ったように笑い出す
けれど決まって最後は声にもならない泣き声で
ああ、あああと

通りがかった兔はきっと顔をしかめて
耳を押さえ
いい大人がと呟くだろう

そして暫くすれば男は何も無かったように世話をする
缶詰から出した年老いた兔を
まま、ままと呟きながら

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