追憶/
彰
共に過ごした時間を
一人で抱えながら
可能性に縋っていても
現実は
色褪せていくだけだから
晴れの日に
風に晒して
綿毛のように
落下傘をふくらませて
地平線の向こう側まで
飛ばしてしまおう
奇跡は起こせなかったから
それくらいの想いしか
無かったのだから
と
言い聞かせて
言い訳をいくつも用意して
君がいない理由を
問われたら
今さらな顔で
当たり前のように
言えるように
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