ぽえむ君−原始−/ぽえむ君
 
ぼくは詩人

未来に憧れ原始に憧れ
現在を生きる

今日もまた

夜の散歩をしていると
原始に出会いました

街灯がない夜の道
そこは何億年も前の夜だった

葉の広がった草が揺れ
大きな虫の羽音
幾百もの直立した大木が軋む
遠くからは獣のうなり声が重く長く
ぼくの身体を波打ち吹き飛ばす

街灯のない夜の道
ぼくは歩き続ける

ふと少し先にほのかな光
街灯が小さく照らす夜の道

文明は取り戻され
微かに草がなびき
足音に驚かされた虫がかぼそく動き
林の木々は沈黙を保つ
遠くで猫が愛くるしい顔で
ぼくの目を惹きつける

街灯が小さく照らす夜の道
ぼくはまた歩き続ける

街灯が小さく照らす夜の道
どこからともなく
微かに獣が唸る声が聞こえる

ぼくは今
何億年も前の夜にいる

気持ちに言葉はいらない

明日もまた

言葉のない詩を作りたい
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