女子高生/三州生桑
本屋に寄った。
綿矢りさの本を立ち読みするために。
あんなにホメられたり、ケナされたりする作品とはどんなものかと思って。
ちなみに、基本的に私は生存中の作家の本は読まない。
『インストール』は文庫になってゐた。
手にとって、解説を読み始めたところで、突然の大豪雨。
白雨といふやつだ。ガラス窓から見える街並の輪郭が、灰白色に濁ってゐる。
本文を数頁ほど読み進めた時、女子高生に声をかけられた。
「あのお、車に乗せてくれませんか?」
可愛らしい娘だった。雨で帰れなくなっちゃって、と屈託なく微笑んで言った。
いいよ、と私は応へた。ただし、あと十分待ってくれ。
私は、『インストール
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)