ぼんやりカーニバル/ふもと 鈴
 
う側には薄紫触れる空気、流水のため
聴いていた蝶の羽音にさんさんと幻想粉の散布、劇場
距離のなき遠近法なき街の斜に乱反射する光の降下
土曜暮れ土曜暮れつと呪文する束の間疎き無意識老者
金色の尖塔立ちたる濃霧ゆくそのさきざきに迷える猿形
君と似た唄をうたひて昼下がり血の出ぬ体に祝杯せせらぎ
二十歳過ぎ果て果てはてなと口ごもり空気と共に消えゆる絶や
確証と頷くきみのその姿理性半分削る途中




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