陶器/アンテ
 

まっ白い顔の人たちが
次々に現れては
好き勝手な方向に歩き去ってしまいます
しゃべり声と足音が混ざり合って
波のように強弱をくり返しながら
ホールを満たしています
柱にもたれて
目まぐるしい流れを見ていると
気が変になりそうです
人々はみな淡々と歩きながら
魚のように目を見開いています
真っ白い顔はつるんとして陶器のようです
だれもわたしがいることなど気にも止めません
ここはどこなのだろう
わたしは顔をふせて息をひそめます
身体の末端から順になにも感じなくなります
このまま跡形もなく消えて
わたしも陶器みたいな顔になるのだろうか
気がつくと
あれだけ広場を
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