波打ち際のホテルにて/bjorn
 

ただ笑いあいたいの
それだけでもういいの
あなたのその腕はあたたかくて
まるで小さな子どものように
哀しみや痛みはもう何もないように
そんな風におやすみを言って

朝がくる前には
一人窓から海を眺めているの
きっと夜明け前に目が覚めてしまうから
もしも東向きの部屋だったら
暗い藍色の空が
少しずつ日の光に破られていくのを

波のひとつひとつがオレンジ色に輝いて
永遠へつながる道みたいに見えるのを
星がうすれて消えてしまうのを
まるで二度とない幻に出逢ったように
まるでこんな奇跡はないってくらい真剣に
息をつめて祈るように
ただ静かに見つめているの

そして同じ場所で過ごしたのに
あまりにも遠く離れた
お互い別々のものを選んだ
すぐ隣に眠っているのに
あまりにも遠く届かない
あなたのこころを思うの

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