新しいまぶた/船田 仰
 
五番六番あたしの足は八番目くらいだと思った
それは駄目だってことじゃない
あの人の連絡先を教えてもらうのを忘れた
あたしはあの人の苗字を知っているんだと思われる

信号待ちの烏丸通りをゆきすぎる無個性な個性たち
その一角を担ってほくそえむあたし
父親から借りたおもたい時計を、気にして、
もうそろそろいなくなっても泣かないとおもってたんだけど

あと少し待ってみるかな
行けなくなってしまったんだ
連絡して下さい
なるべくはやく

きみの連絡先きかなかったから約束守れないなんて洒落にもならない

なめてあげてもいいよだなんて
言えなかった新しい関係の夜

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