虜/
彰
硝子越しに見た世界の
何かに 憧れたのか
足下に限られた世界の
何かに 追われたのか
求めた水場に
たどり着く前に
力尽きたことは
確実で
黒炭に足が生えたような姿は
かつてあった弾力も
潤いのある瑞々しさも
欠片も残しておらず
ひざまずき
腕を伸ばし
摘み上げた指先には
干涸らびた皮膚
落ち窪み
尖った骨
持ち上げ
戻した硝子容器の中で
それは最後に
からん
と
鳴いた
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