私の街を紹介します/Keico
地上から数十メートル上の星たちが
夜空の光を奪った
月は疲れた顔たちを照らして
電灯に負けそうな自分の存在証明を
セメントの大木はちっとも動かないでいる
そよいだ夜風を冷たく跳ね返すだけ
造られた街から
数分歩くと現れる
少しだけ残されたありのままの景色
虫の声
ほてった体を優しく冷やす緑
ぷんと香る草の香り
するりと駆け抜ける獣たち
私も知らない
小さな森も獣も知らない
ここが灰色に染まるのがいつなのか
東京へ行く私が
此処に戻ってくる頃
何も変わってなければいい
愛着など一切わかなかった街
今、排気ガスの匂いと
狸の影が
私の服の袖を掴んで離さない
視界が潤んでぼやける
緑色と灰色が
混ざって見えた
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