わたしは他人/蒼木りん
ピアノは
閉じたまま
あの人さえ
わかってくれないんですよ
行きたいほうへ
向かせてもらえない
いつだって
わたしの肩をつかんで
行きたくない方へ向かされる
それが当たり前のように
汚れた言葉
平気で
だから
目をつぶるよ
それが済んだら
そう思って
いつも
誰にも見られないうちに
一瞬だけ泣いて
誰か
気づかないか
気づかない
わたしは
真白な
空飛ぶ雑巾にはなれない
雑巾は
雑巾
もう
糸が切れそうだ
代わりに泣く雨を
窓から眺める
こころとか
生きてるわたしは
他人
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