転校生/光冨郁也
 
引越をした日は、
青空だった。
近所の空き地の、
壁に、ボールをぶつけ、
グローブで受けとる。
ひとりで遊ぶわたしに、
アキラとリョウが、
笑みを浮かべ、声をかけてきた。

初登校の日、
授業が終わり、
放課後になる。
わたしは、
クラスの男子たちに呼ばれ、
体育館の横で、
列をつくって、
ドッチボールを投げ込まれた。
一人、二人目のボールは、
受けとった。
五人、六人目の、
ボールは、足にあたり、
指にあたり、
転がった。
つき指をして、うずくまり、
わたしは唇をかむ。
群がる同級生たちの、足しか見えない。

わたしは、壁に向かって、
ボー
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