歩道橋/純太
 
った

あの日 老夫婦が
階段を登ってきた道に立つ
眼下の孫へ別れの手を振り
階段を降り始めた

そして降りきった老夫婦を
追い越そうとした俺は 
老夫婦と眼を合わせたけども
俺に投げかけたわけではない
清々しい笑顔が
とても春風だった

陽光の暖かさが漲る
この季節が巡り来て
その歩道橋の階段を登る度
背中が見える向こうの階段から
その時一番会いたい人が
登ってきて欲しいと
殊に思うのだけど・・・

春は渡るほどに
眼で深呼吸をして
そして一方通行の追憶を
リバイバルで・・・
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