歩道橋/純太
春は渡るほどに
瞳で深呼吸をして
そして一方通行の追憶を
リバイバルで・・・
俺の家の近くにも そろそろ
更新の匂いがする歩道橋があり
その歩道橋の階段を登りきれば
少し歩いたあたりで
一味違う美景が見れるわけでもなく
下を見れば
後は人の頭の上を飛ぶことだけを背負った
車社会が見えるだけ
そしてその歩道橋の
雨の染みの乾きが遅くなった
べトンの階段に
たまにつまづく階段に
この春も
悲喜の回想が始まった
あの日 男と女は
狂乱しながら階段を登っていた
恨めしい涙声と怒声
どっちがどの声なんてより
二人登ってゆく様が
春雨だった
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