終わりの風景/大覚アキラ
 
崩れてゆく
驚くほどの速度で
花びらで描かれた美しい絵が
ぼくたちの目の前で
風に吹かれて今

埃っぽい川岸の
薄い黄緑の草むらを踏み分けて
ぼくたちはどんどん歩いてゆく
心の中で詩を諳んじながら
まっしぐらに
手も繋がずに
うつむきながら歩いてゆく
ぼくたちの間を
切り裂くように走る甲高い囀り
立ち竦むぼくたちの頭上に
温かい血のぬくもりを持った
最後の一羽が
世界を横切って飛んでいく
嘴に咥えた導火線を
冷たい風になびかせて

川面には花びらが
無数の花びらが
流れている
美しい絵はもうすでに
跡形もなく
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