鏡/民
思い出してみる
今では靴を入れる蜂の巣
時間では割れなくなった手帳
変わらないのは
万華鏡のきらきら
あの日
荒れ気味の七夕
何も聞こえないくらい大切にした
プリントで作った笹と
短冊
思い出すうた
思い出す匂い
思い出す欠片
ミキサーの川に流したせいか
粉々になった
記憶
英語も数学も歴史も一緒に
あんなに大切にしていたのに
短冊に書いた願い事が思い出せないでいる
もしかしたら
幸せなのかもしれない
と
あの日と
また1年ぶりに会い
話をした
思い出したいのは短冊ではない
万華鏡の中身は教室を世界に変え
今ごろ
各々輝いている
あの日と似た流れ
空の色
思い出せないでいる
もしかしたら
幸せなのかも
知れない
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