オールトの歌/
蒸発王
光を見ながら
ぶつかるとか
危ないとか
そんなこと考えもしませんでした
ただ
長く伸びた白い尾が
大きな翼のようで 風のようで
昔に見たウエディングドレスのベールのようで
ただ
美しくて
ママの名前を
呼びました
瞬間
彗星が
宇宙船を
身体を
細胞を
原子を
この腕を
すっと
通りぬけて行きました
還って逝ける
永遠の腕へ
その時
すれちがいに見たのです
あの彗星の横顔は
間違えなく
ウエディングドレスを着た
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