水を飲ませてください/大覚アキラ
 
さびしさなんていう気持ちに押し潰されて
圧死するような死に方はまっぴらなので、
心の中で何かを爆発させ続けて
思考のスピードを倍ぐらいに上げてみる。
孤独という言葉のほんとう意味を
膝を抱えて考え続ける48時間。
そんな自分の姿がなんだか可笑しくって
歯磨きもしないでベッドに潜り込んで
ヨダレをいっぱい垂らして眠る。
身体中の水分を全部ヨダレにしてしまうんだ、
涙なんか一滴もこぼれなくなるまで。
渇ききった眠りの底で雨乞いしろ、
大昔のシャーマンみたいにさ。
夢の中でも思考はそのスピードを緩めない。
猛烈なスピードで意味を追い越して、
目が覚めるまでの数時間のうちには
思考は意味を周回遅れにしてしまうだろう。
それでももっと加速して、加速し続けて、
チビクロサンボの虎みたいに
ドロドロに溶けて、流れて、蒸発して、
ほら見ろよ、やっぱり渇いているんだ。
そうか、渇いているからさびしいんだ。
いや、さびしいから渇いているのだろうか。
とにかく、いま、水が飲みたいんだ。
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