砂時計の扉/宙空 心
またその本を読んでるの?
空翔ぶ竜の勇者の話を
何度読んだって
何の変わりもないのに
君はいつもその本を読んでる
いい加減にしなよ
何度読んだって
君はその勇者にはなれない
わかってるんだろう?
所詮お伽噺だって
叶わない夢なんだよ
切ないね
君の顔は輝いてる
悲しいね
そんな酷なこと言えない
いつから自分が
こんなに夢のない人間になったのかわからない
夢でも楽しかったはずだ
心の何処かで
それが夢だとわかっていながら
何もかも否定的で
なんて現実的
無味乾燥な世界
僕の世界
吐き気がするね
それに比べて君の世界は
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