帰路/
 
「帰ろうか」

誰かの声が
夕暮れ道に静かに落ちて
僕たちは 帰路に着く
寂しさが空を染めて
影が体を追い抜いてゆく


歩きながら
置き去りにする風景と
正しく遠ざかる声

途切れるその一歩手前で
振り返ると
誰もが同じように
振り返って
息を吸って


切り取られる一瞬の絵



「また明日」

小さな声が
風景の上 重なりあって
僕たちは 耳をすます
約束が空にあり
影が体にそれを知らせる


もう一度
歩き出した背中
そろぞれに違う曲がり角 夜


明日の朝
掌に何もなかったとしても
僕たちは向かって行ける

どこまでも透き通った
あの声が浮かぶ空へと


戻る   Point(3)