夢のつづき/銀猫
ソーダの泡のような微睡みのなかで
懐かしい とても懐かしいその面影に出会った
記憶の深くに留めようと
すればするほど
表情は淡くなる
ならばこの夢でだけ覚えておこうと
思い切りこころを凝らす
昨日までのすべてを語りたい
或いは
わたしの今を知らせたい
そんな風に
焦っているうち
いつしか
懐かしい影は
わたしに寄り添うように
重なり 重なり
自分の横顔だけが取り残された
真昼の転寝には
遠い日からの夢が続いているらしい
わたし
何を伝えたかったのだろう
本当は夢でなく
不意に過った風は
微かに柑橘系の匂いがした
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