春に/「ま」の字
遼原に
かぜが吹いても
僕は魅惑する午睡である
泥炭の午後
巨大な軋れおとをたてて 目蓋があく
午睡である
鳥
は地平から近づく囀りの
沸き返りの
天秤の
朱のいのちは青銅の
はまた樹木
の
―
の空から一千個の目覚ましが落ち (ジ、RuRuRu
河はどこだ
いのちは
記憶する 愛する
世界はひくい呟きを
通奏する
ゆったりとした黒旗の
朝 と 記憶を
茂みから足跡が立ち去る
いわばいのちの近くは濡れて泡たつ捨て地の
気配しかないものだ 見た者は
河口とは
午
いわばだれも拾わない
干潟を飛びたつコウノトリ (たち
/ 影
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