レモネード色の/キキ
 
い道には
大きな鯉とザリガニたちの
干からびた死体が並び
アスファルトに身体をはりつかせ
道をふさぐ

 石を持つわれわれは
 シグナルを出して歩いているでしょう?
 ぴりり
 ちょっと痛いその一瞬さえ見逃さなければ
 お互いがわかるもの
 そうおもっていた

話したいことがあり、
話したいことがあった



 痛みは
 われわれをつなぐでしょう?
 それはまったく
 はかないうたた寝の
 シャボン玉の
 さらに夢のなかの
 小さなひとたちがシンバルを鳴らしながら
 歌ううたみたいよ
 ねえ見て!ねえ見て!
 そんなふうに
 跳びはねて
 つめたい金属がふれる一瞬は
 ぴりぴりして
 気持ちって
 音とか、震えでしかないのかもよ

ガラス越しにレモネード色
朝、へんな色をした雲をみつけて
指先でぐっと
まぶたを押さえたあと
目を開けたせかいのあいまいさを

ずっと覚えているには
見えないくらい近くに寄り添えばいいと
そうおもっていた




        ※初出:「p-cafe」を改稿
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