潮/
 
もしかしたらがドアを叩く

耳から口からサイコロが
ふりだす
言葉を転がす
目があわない
めもあわない

烏賊に嘴があって
本当は空が欲しかったのではないかと
本当は飛びたかったのではないかと
臆病な自分と合わせる

それとも
海に恋をした鳥が飛び込んだのだろうかと
大きすぎる愛にうたれもする

黒い血を見ながら
嘴を手に
暗くなる前に台所で
心に小さな怪我をする

空から目から
雨が降り出す
嘴が転がる

外では雨が歌い
海が最後に一目会いたかったと
私の目からこぼした水

塩味


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