光根/葉leaf
展示された日々にひとつひとつ形をあたえてゆくと、球のまざった菱形がひとつだけ余ってしまう。菱形は情念に光の島を落として、情念は菱形を斜めに転調させる。君はこの菱形に所有されていたのか。
君の肺は絵の中の黒い手に握られている。その絵は君の弟が描いたもので、彼の右目の一部は今もその絵に貼りついている。君は絵の中の笛を吹いていて、その音が僕の足跡を深くする。僕の右手は絵の中に入ったきり出てこない。僕はそんな右手を今日も黒く染めている。
今日も物体の雨が降る。散り敷く物体に吹き抜けられながら、僕は色とりどりの物体を君に向かって速射する。それらが命中するごとに君はどんどん物体になってゆき、目と鼻
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