メモ2:孤独/六崎杏介
 

一度だけ、神の存在を感じた事がある。その日私はホテルで恋人と過ごしていた。
その時私はコカインを吸っていて、恋人は隣で微かな寝息を立てていて。
私はぼーっと仰向けになって、定かではないが、恋人の寝息を聞いていた。
すると、段々体に穏やかな熱が宿るのを感じ、訳も無く涙が溢れてきた。心地いい涙。
無心が幸福に満ちて、何故か許されたと感じた。世界に存在の全てを認められた。
そんな不思議な熱が全身に宿り、すうっと消えていった。

その頃から、私は薬物を摂取しての即興詩を書き始めた。
あの感覚、神の熱を再度降ろせる気がして、事実、それに近い感覚があった事もあった。
恐らく殆どの人がそれ
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