婚姻と同情のあいだ/
山内緋呂子
黒いカーテンでよかった
遮光カーテンは甘いのだ
まえに
水蜜をくわえて 跳ねた汁をなめたら
甘かったからほんとうだ
ふくらはぎの下で
かりっこりと かりっこりする
彼の爪だ
「爪のとばない爪きり」を何度買っても ずっととばす
一緒に暮らすなら 爪のない男にしよう
それは気持ちが悪いだろう
生きるなら それは気持ちが悪いのだ
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